かつて『ためしてガッテン』が目の下のクマとたるみを取り上げた際、全国の視聴者に衝撃を与えたのが「クマの種類の見分け方」と「目元の筋肉=眼輪筋(がんりんきん)への着目」でした。番組では、血行不良による「青クマ」、色素沈着による「茶クマ」、そして目の下の構造的な段差が落とす影である「黒クマ」を明確に分類。顔を上に向けて手鏡を見たときに影が薄くなるなら、それは皮膚の変色ではなく、たるみによる「黒クマ」であると喝破しました。
この黒クマ・たるみの真相を解消する手段として紹介されたのが、まぶたの開閉を司るドーナツ状の筋肉を刺激する眼輪筋トレーニングです。眩しい光を見るように下まぶただけを意識して持ち上げる動きや、目元を温めてから優しく緊張をほぐすストレッチが紹介され、スタジオの測定データで目元の陰影が浅くなる劇的変化が放映されました。
これが「自力で改善する理由」として視聴者の希望となったわけですが、ここに大きな認識のギャップが潜んでいます。当時実証された改善の主たる要因は、滞留していたリンパや静脈血が筋肉のポンプ作用で流れたことによる「むくみの消失」と、一時的な筋緊張の上昇による「皮膚の張り」でした。放送内容を正しく読み解けば、番組は「脂肪が消える」とは一言も明言していません。加齢で突出した脂肪そのものをセルフケアで解消できるかのような俗説は、放送後の情報拡散の過程で誇張されたバイアスだったのです。