今注目を集めている 映画『竹取物語』Ufo結末の真相と配信状況|沢口靖子版の全貌について、多角的な視点をご紹介しています。
なぜ市川崑監督は、このような思い切ったSF展開を採用したのでしょうか。実は日本最古の物語とされる原典『竹取物語』自体が、「月から迎えが来る」「記憶を消す羽衣を羽織る」「不老不死の薬を残す」など、きわめてSF的構造を持った作品です。1987年実写版は、その原典の記号を当時の特撮技術(特撮監督:中野昭慶)でストレートに視覚化しようとした試みでした。
一方で、2013年にスタジオジブリの高畑勲監督が手掛けたアニメーション映画『かぐや姫の物語』は、まったく異なるアプローチで古典の本質に迫っています。実写版、ジブリ版、そして原典の違いを比較表で整理しました。
比較項目1987年実写版(市川崑監督)2013年ジブリ版(高畑勲監督)原作(古典文学)の基準月の使者の正体と描写巨大な宇宙母船(UFO)
無数の発光体と機械的な推進力による飛来。仏教の来迎図を模した天人団
軽妙な雅楽の調べと共に雲に乗って降臨。天人が空飛ぶ車(飛ぶ車)と雲に乗って出現する。かぐや姫のキャラクター像青い瞳を持つ異星人
神秘性と感情の抑制、地球の家族への情愛。生々しい人間味と苦悩
自然を愛し、都の因習に心をすり減らす少女。神聖不可侵の存在。求婚者を冷徹に退ける貴種。竹取の翁の動機と結末亡き娘「加耶」を重ね、泥臭い家族愛から宇宙船に立ち向かう。世俗的な出世欲に囚われ、結果的に姫を精神的に追い詰める。富貴を得て喜び、別れに際しては老い衰えて床に伏す。演出トーンとジャンル特撮SFファンタジー大作
バブル期の大型予算によるハリウッド的挑戦。水彩画風のアート&心理ドラマ
地球上の「生と死」の本質を問う哲学劇。平安初期の伝奇物語・仮名文物語。
市川崑監督が焦点を当てたのは、原典の冷淡な超越性ではなく、「家族という血の通った絆が、理不尽な運命によって引き裂かれる切なさ」でした。だからこそ、使者は神秘的な天女ではなく「圧倒的な科学力で個人の感情を無慈悲に奪っていく超文明の象徴」としてのUFOでなければならなかったのです。