『義母と娘のブルース』が傑出していた最大の要因は、主役から脇を固めるバイプレイヤーに至るまで、すべての登場人物に血の通った必然性と独自の魅力が与えられていた点にあります。連続ドラマから2本の正月スペシャル、そして『FINAL』に至るまでの変遷を追うことで、この作品が構築した人間関係の豊かさが鮮明に浮かび上がります。
物語の中核を成すのは、元敏腕ビジネスウーマンにして宮本家の義母となる綾瀬はるかさん演じる宮本亜希子です。名刺交換から始まった型破りな子育ては、やがて無償の愛へと昇華していきました。その夫であり、温かな笑顔で母娘を繋いだ竹野内豊さん演じる宮本良一は、前半で病により他界するものの、遺された録音メッセージや記憶の象徴としてシリーズ全編に決定的な影響を与え続けました。2022年の正月スペシャルでは、良一に瓜二つの敏腕ファンドマネージャー・岩城良治として竹野内さんが一人二役で再登場し、視聴者を大いに沸かせたことも記憶に新しい事実です。
そして物語のもう一人の主人公である娘・みゆきは、幼少期を横溝菜帆さん、高校生以降の青春期から社会人・花嫁姿までを上白石萌歌さんが演じ、見事なリレーを完成させました。みゆきを巡る周囲のキャラクターも極めて個性的です。みゆきの幼馴染で一途に思いを寄せ続ける井之脇海さん演じる黒田大樹、亜希子が再就職し奇跡の再建を果たす「ベーカリー麦田」のおバカでお人好しな店長・麦田章を演じた佐藤健さん。さらに、下山不動産を営み宮本家の良き理解者であり続ける「下山のおばちゃん」こと麻生祐未さん演じる下山和子の存在は、物語に絶妙な生活感と下町の人情味をもたらしました。
さらに、シリーズを支えた義母と娘のブルース 出演者一覧を振り返ると、良一の上司である笠原役の浅野和之さん、亜希子の元部下で常に彼女に敬意を払い続けた田口朝充役の浅利陽介さんなど、演劇界・映像界の屈指の名バイプレイヤーが揃っています。完結編となった『FINAL』では、大樹の母役として松下由樹さん、父役として遠山俊也さんが参戦。結婚をめぐる両家の価値観の衝突という普遍的なテーマにおいて、作品のラストピースとして圧巻の存在感を発揮しました。