競馬界において長年信じ込まれている最大の誤解のひとつが、「府中のマイル戦は直線の末脚勝負だから、強烈な上がりを使える追い込み馬を買えば当たる」という固定観念です。しかし、近年の馬場保全技術の劇的な進化により、この神話は音を立てて崩れ去っています。
JRA馬場造園課による緻密なエアレーション作業やオーバーシード管理によって、冬場であっても芝コースの路盤は硬く引き締まり、時計の出やすい高速馬場が維持されます。その結果、後方待機組が上がり3ハロン33秒0前後の驚異的な脚を使っても、前で上がり33秒7程度でまとめられた場合、物理的な差を詰めるだけで精一杯となり、4〜5着に敗れ去るという現象が恒常化しています。
さらに見逃せないのが、東京新聞杯の騎手相性です。東京マイルは「コースを知り尽くしたトップジョッキーの独壇場」と称されます。特に、直線の坂をどのタイミングで駆け上がるか、仕掛けのタイミングをコンマ数秒単位で把握しているルメール騎手や戸崎圭太騎手といった府中巧者の手腕は絶大です。仕掛けが早すぎて坂上で失速する騎手、あるいは進路取りで外へ膨らみすぎて距離ロスを被る若手騎手との間には、目に見えない明確なスキルの差が存在します。