江東区豊洲6丁目2番15号に位置するテプコ豊洲ビルは、2003年4月に竣工した鉄骨・鉄骨鉄筋コンクリート造の複合施設です。地上5階・塔屋1階、地下は深さ約40メートル(地下7階相当)に達する規格外のスケールを誇ります。敷地の北緯35度38分51秒、東経139度47分26秒に位置するこの建物は、円柱形の独特なフォルムから関係者や地元住民の間で「ビックドラム」の愛称で親しまれてきました。
現場を訪れるとまず驚かされるのが、一般的なオフィスビルとは決定的に異なる外壁の重厚さです。開口部(窓)が極端に少なく、外部からの視線や物理的な衝撃を完全に遮断するシェルターのような構造を採用しています。これには明確な理由が存在します。地上部分の上層階は、高度な情報社会を支える世界最大級のiDC(インターネットデータセンター)や東京電力関連の制御拠点として設計されているためです。
2010年頃に撮影された現地の記録写真を確認すると、当時はビックドラムの周囲には民家も商業施設もほとんどなく、見渡す限りの空き地が広がっていました。その荒涼とした埋立地に突如として建てられた巨大ドラムは、まさに映画に登場する秘密研究施設のようでした。しかし現在、その異質な外観の奥底では、私たちが日々消費する膨大なデジタル通信と電力を瞬時も途絶えさせないための極秘オペレーションが24時間体制で続けられています。