文字情報としては極めて洗練され、都会的な響きを持つ「東京さん」ですが、日常生活における実態は想像以上の不便やハプニングに満ちています。SNSやネット掲示板、過去のメディア取材等で語られた珍名当事者の証言を総合すると、共通する「あるある」が見えてきます。
最も頻繁に遭遇するのが、飲食店や宿泊施設、コールセンターなどでの聞き返しトラブルです。「お名前をお願いします」と尋ねられ、「東京です」と答えると、高確率で「あ、ご住所ではなくお名前のほうをお願いできますか?」と返されてしまいます。「名字が東京なんです」と説明しても、「いたずら電話や偽名ではないか」と疑われ、公的な身分証を提示してようやく納得してもらえるケースが後を絶ちません。
さらに切実なのが、印鑑(認印)の問題です。100円ショップや文具店の回転印鑑タワーに「東京」の認印が常備されていることは100%あり得ません。就職活動や各種契約手続きのたびに印章店で特注(オーダーメイド)を余儀なくされ、一本数千円の出費と日数がかかります。
一方で、SNS上では好意的な反響も目立ちます。「一度名刺交換をしたら二度と忘れられない」「自己紹介だけで商談のアイスブレイクが完了する」「インパクトが強すぎて羨ましい」といった声が寄せられており、ビジネスや人間関係における圧倒的なアドバンテージとして機能している側面もあります。珍名ならではの苦難と引き換えに、誰にも真似できない強力なパーソナルブランディングを手に入れているのが東京さんの日常です。