ホラーアイコンとしての貞子は「顔が見えないこと」こそが最大の恐怖でした。しかし作品ごとに設定やアプローチが異なり、演じる女優の美しさと特異な個性が作品の完成度を左右してきました。映画・ドラマシリーズで貞子を演じ、観客を震撼させた主要キャストたちの系譜を振り返ります。
まず、すべての恐怖の原点にして金字塔となった1998年の劇場版『リング』で全身の貞子を演じたのが、舞踏家の伊野尾理枝です。彼女の関節が外れたかのような異様な這行は、前衛舞踏の身体コントロールによるものでした。一方、同年に同時上映された映画『らせん』で、原作小説が描く「この世のものとは思えない絶世の美女」としての復活した貞子を体現したのが佐伯日菜子です。圧倒的な目力と退廃的な美しさは、恐怖を超えて観客を陶酔させました。
続く1999年のフジテレビ系連続ドラマ『リング〜最終章〜』および『らせん』で貞子役に抜擢されたのが、当時まだ無名に近かった木村多江です。台詞がほとんどなく、存在そのもので影を落とす怨念の表現は、のちに「日本一薄幸な役が似合う実力派女優」として開花する強烈な布石となりました。
そして2000年、映画『リング0 バースデイ』で怨霊化する以前の生身の劇団員・山村貞子を演じ切ったのが、当時19歳の仲間由紀恵です。劇団内で孤立し、自らの異能に苦悩する儚くも圧倒的な美少女ぶりは語り草となっており、この直後にドラマ『TRICK』で国民的ブレイクを果たす契機となりました。2012年の映画『貞子3D』では、映画『告白』で脚光を浴びた直後の橋本愛が貞子役を務め、CG技術と融合した新世代のヴィジュアルショックとして大きな話題を呼びました。