布施明にハーフ疑惑が定着したのには、単なる思い込みにとどまらない複数の複合的な要因が存在します。
1. 若い頃から際立っていた彫りの深い顔立ちと圧倒的骨格
デビュー当時の1960年代半ばから1970年代にかけて、布施明のビジュアルは昭和歌謡界において極めて異彩を放っていました。高く通った鼻筋、奥二重の切れ長で力強い目元、立体的な顎のラインは、当時の一般的な日本人男性のイメージを大きく超越するものでした。
さらに、イタリア歌曲仕込みの本格的なベルカント唱法を響かせる豊かな胸郭と体躯は、欧米の一流ボーカリストを彷彿とさせ、視覚的・聴覚的の両面から「外国の血が入っているのではないか」という印象を強烈に植え付けました。
2. 元妻オリビア・ハッセーとの電撃結婚と渡米経験
1980年、映画『ロミオとジュリエット』で世界的大スターとなったイギリス出身の女優、オリビア・ハッセー(Olivia Hussey)との電撃結婚は、日米両国のメディアを大きく揺るがしました。布施明はカネボウ化粧品のCMソング『君は薔薇より美しい』のレコーディングやキャンペーンを通じて彼女と巡り合い、国際結婚を果たします。
結婚後は生活の拠点をアメリカ・ロサンゼルスに移し、現地で高い英語力を身につけながらミュージカル出演や音楽活動を展開しました。この華々しい国際的経歴と堪能な英語力が、「布施明自身も海外ルーツを持つ人物である」という誤解を後押しする要因となりました。
3. 愛息「マキシミリアン」の存在による情報の混同
最も決定的な要因は、オリビア・ハッセーとの間に誕生した息子の存在です。1983年に生まれた長男はマキシミリアン・ヒロシ・フセ(Maximilian Fuse)と名付けられました。
マキシミリアン氏は正真正銘の「日系アメリカ人ハーフ」です。芸能ニュースやネット上の情報伝達において、「布施明の息子がハーフ」という事実がいつしか主語を取り違えられ、「布施明がハーフ」という誤った言説へとすり替わっていった経緯があります。