教育関係者が口を揃えて指摘する教員給与割に合わない理由の核心にあるのが、1971年に制定された「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」の存在です。
給特法下では、どれだけ残業しても時間外勤務手当は1円も支払われません。その代わりに支給されているのが、基本給のわずか4%にあたる「教職調整額」です。この4%という数字は、昭和41年(1966年)に実施された勤務状況調査で算出された「月平均残業時間約8時間」を根拠に設定されたものです。
しかし、半世紀以上が経過した現場の現実はどうでしょうか。文部科学省自身の教員勤務実態調査でも、過労死ラインとされる「月80時間以上」の時間外勤務を行う教員が中学校で3割以上、小学校でも約1割から2割に達していることが判明しています。まさに給特法の残業代問題は、「定額働かせ放題」の合法的な隠れ蓑として機能し続けてきました。
都内公立中学校に勤務する30代教員の手記には、痛切な実態が綴られています。
「平日は朝7時15分に登校し、下校指導と明日の授業準備を終えると退勤は夜8時を回る。土日は部活動の引率で朝から夕方まで潰れ、休日の中学校教員部活動手当は1日わずか3,000円強。自腹で買う遠征の交通費や弁当代を引けば手元にほぼ残らない。年収600万円と言われても、月100時間を超える時間外労働を時給換算したら最低賃金を下回る計算になる。これで『高給取り』と叩かれるのはあまりに理不尽だ」
「夏休みがあるから楽」という世間の俗説も、実態からは大きくかけ離れています。長期休業中であっても教員は公務員であり、出勤義務があります。研修の受講、新学期の指導計画策定、備品点検、プールの管理、部活動指導などでスケジュールは埋まり、民間企業並みの有給休暇を消化することすら困難な現場が一般的です。