大規模な社葬から家族葬まで1,000件以上の現場を取り仕切ってきた葬儀ディレクターや業界関係者の証言によると、通夜や葬儀・告別式の受付で参列者が発する言葉には明確な傾向が見られます。
受付で最も多く使われるのは、やはり「この度はご愁傷様でございます」というフレーズです。ただし、現場のプロが口を揃えて強調するのは、「発する言葉の内容そのもの以上に、語調と所作の抑制が弔意の深さを決定づける」という点です。受付の台座に香典を差し出す際、ハキハキとした明るいトーンで「ご愁傷様です!」と言い切ってしまう参列者が少なくありませんが、これは場にそぐわない悪例とされます。
現場における正しい所作は、語尾を少し濁すように小さめの声で「この度は、誠にご愁傷様でございます……」と深々と一礼することです。言葉を言い終える前に頭を下げる「語先後礼(ごせんごれい)」、あるいは言葉と動作を一致させる所作が、深い悲しみを分かち合う姿勢として遺族側の心に届きます。
また、目上の人に対して「ご愁傷様です」を使ってよいのかという疑問も頻繁に議論されます。文法的には「ご」と「様」が付いた丁寧な敬語表現であるため、上司や取引先の役員に対して直接口頭で使うこと自体は失礼にはあたりません。しかし、より丁寧で格調高い敬意を込めたい場合には、「この度は誠にご愁傷様でございます。心よりお悔やみ申し上げます」と、2つのフレーズを重ねて敬語レベルを引き上げるのが現場で最も推奨されるテクニックです。