インターネット上の掲示板や美容系コミュニティでは、「親知らず抜歯こそ最強の小顔整形」と称賛する声がある一方、「大金を払って激痛に耐えたのにミリ単位の変化もなかった」という落胆の書き込みも散見されます。この極端な意見の乖離はなぜ生じるのでしょうか。
複数の歯科医療グループが実施した術後アンケート調査を分析すると、親知らず抜歯を経験した患者のうち、エラ周りや顎下の引き締まりなど「輪郭の変化を明確に自覚した」と回答した割合は全体の約3割に過ぎません。残る7割近くの患者は、術前と術後で目視できるほどの差異を認識していないのが実情です。
取材に応じた日本口腔外科学会所属の専門医は、小顔効果をめぐる認識のズレについて次のように指摘します。「親知らずがなくなったからといって、顔のフレームを形成する下顎骨そのものが劇的に小さくなることは解剖学的にあり得ません。変化を感じる人が一定数いるのは事実ですが、それは骨が削れたからではなく、骨を取り巻く軟組織や咀嚼筋のバランスが変わった結果に過ぎないのです」。
ネット上に氾濫する劇的な抜歯ビフォーアフター画像の多くは、抜歯直後の極度の腫れが引いたタイミングとの比較や、術後の食事制限による一時的な体重減少、あるいは撮影アングルやライティングの差異が多分に影響している点に注意が必要です。