世間で語られる「電通悪玉論」の中には、実態とは乖離したバイアスや誤解も少なからず存在します。感情的なバッシングに流されず、ビジネスの構造をフェアに見極めることが重要です。
第1の誤解は、「電通はテレビCM枠の手数料だけで暴利を貪っている」という見方です。実際には、テレビメディアの広告費シェアは年々減少し、インターネット広告が圧倒的多数を占める時代になりました。同社も旧来型のメディアバイイングから脱却し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援やデータ解析、顧客体験設計(CX)を軸とするソリューションビジネスへと主力をシフトしています。
第2の誤解は、「電通の社員は全員がパワハラ気質の理不尽な人間である」というステレオタイプです。近年の新卒・中途採用では、体育会出身者だけでなく、データサイエンティスト、エンジニア、アカデミックな知見を持つリサーチャーなど多様なバックグラウンドを持つ人材が急増しています。かつてのような一握りのスタークリエイターによる独裁体制から、専門家集団によるチームプレーへと組織のあり方は大きく変容しています。