捻挫発生からの72時間は、靭帯の瘢痕(はんこん)形成と腫れの広がりを抑え込む極めて重要なゴールデンタイムです。ここでテーピングを施す前に、世界共通の救急プロトコルである「RICE処置」を正しく遂行することが大前提となります。
RICE処置は以下の4要素で構成されます。
- Rest(安静):患部への体重負荷を直ちに停止し、関節の無駄な動きを遮断する。
- Ice(冷却):氷嚢(ひょうのう)を用い、1回15〜20分間、患部を冷やして血管を収縮させ、内出血の拡大を防ぐ(感覚が麻痺したら一度外し、痛みが戻ったら再開)。
- Compression(圧迫):弾性包帯や伸縮テープを用い、腫れが関節包の外へ無制限に広がるのを物理的に防ぐ。
- Elevation(挙上):患部をクッション等の上に乗せ、心臓より高い位置へ保つことで静脈還流を促進する。
腫れへの対処で特に注意すべきは、「冷湿布を貼っただけで冷やした気にならないこと」です。冷湿布に含まれるメントール成分は皮膚の冷感受容器を刺激して「冷たく感じる」だけであり、深部組織の温度を下げて内出血を抑える物理的冷却効果はほぼゼロに等しいのが医学的事実です。氷水を入れた氷嚢でしっかり深部までアイシングを行ってから、軽度の圧迫テーピングへ移行するのが正しい順序です。