こそあど言葉とは?これ・それ・あれの使い分けと大人も迷う文法ルール

こそあど言葉とは?これ・それ・あれの使い分けと大人も迷う文法ルール

こそあど言葉とは?これ・それ・あれの使い分けと大人も迷う文法ルールについて押さえておきたい ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。

ネット上のマナー指南や文章術のコラムでは、しばしば「文章力を高めるためには指示語を一切使うな」といった極論が見受けられます。しかし、これは言語学的な実態を見誤った誤解です。指示語をすべて排除すると、「山田さんは山田さんの車に乗って山田さんの会社へ行った」というような、息苦しく不自然な悪文が完成してしまいます。重要なのは「排除」ではなく「適切な文脈指示のコントロール」です。

また、日本語のこそあど言葉の奥深さは、英語との対照比較を行うことでより鮮明になります。

項目日本語(三項対立+不定称)英語(二項対立+疑問詞)言語的特徴・比較体系構造こ・そ・あ・ど(4区分)This / That / Which(実質3区分)日本語には「相手のテリトリー(中称)」を示す独立した体系が存在する。相手の持ち物の表現「それは良い時計ですね」"That is a nice watch."英語は「自分から離れている=That」となり、「そ」と「あ」の区分がない。相手への同意表現「その通りです」"That's right!"直訳すると「あれは正しい」だが、文脈上は相手の意見を尊重する「そ」が対応。

英語は基本的に「This(話者の近く)」と「That(話者から離れたすべて)」という二項対立の世界観で成り立っています。これに対して日本語は、話し手と聞き手の間に明確なバウンダリーを引き、「あなたの領域にあるもの=そ」という中称の独立したカテゴリーを持っています。この繊細なテリトリー意識こそが、相手への敬意や配慮を言葉の根幹に宿らせる日本語独特の構造と言えます。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。