多くの転職マニュアルで推奨される「一身上の都合により退職」という表現ですが、現場の採用担当者はこの一行をどのように受け止めているのでしょうか。都内IT企業の人事責任者への取材によると、「職歴欄に定型句が並んでいること自体に問題はないものの、在籍期間が極端に短い場合や不自然なブランクがある場合、一身上の都合という言葉は『説明できないネガティブなトラブル』を覆い隠す煙幕に見える」と証言します。
人事の現場において、採用担当者が最も恐れているのは早期離職の再発リスクです。特に20代後半から30代の中核人材を採用する際、企業側は「前職と同じ不満や人間関係の摩擦で再び辞めてしまわないか」という適応力を見定めています。履歴書に詳細を書かないこと自体はビジネスマナー上問題ありませんが、面接の場で退職理由を質問された際、書類との乖離や曖昧な弁明に終始すると、面接官の評判や本音ベースの評価は一気に急落します。
厚生労働省が公表する雇用動向調査などの定点データを見ても、転職入社者が前職を辞めた主因の上位には常に「職場の人間関係」「労働条件への不満」「給与への不満」が並びます。人事側もその実態を熟知しているからこそ、「一身上の都合」の奥にある本人のストレス耐性や他責傾向の有無を、面接の限られた時間で徹底的に炙り出そうとするのが現実です。