「ベトナム人技能実習生が日本から一斉に姿を消している」という噂の真偽を確かめるには、感情論を排して客観的な統計データを精査しなければなりません。出入国在留管理庁の公式発表および関係省庁の最新統計を確認すると、2023年から2024年にかけて約20万9,300人規模で推移し、全技能実習生の実に46.5%〜50%前後を占めていたベトナム人の総数そのものが、一夜にして半減したわけではありません。
しかし、現場の体感として「激減している」と叫ばれる背景には、明確な統計的根拠が存在します。かつてのように右肩上がりで純増を続けていた新規入国者数の伸びは完全にストップし、契約満了を迎えた実習生が本国へ帰国するスピードに入国ペースが追いつかない「純減傾向」が一部の職種で顕著化している点です。
最大の要因は、急速に進んだ歴史的な円安と、ベトナム現地における急速な経済成長です。かつては「日本で3年働けばハノイやホーチミンの郊外に家が建つ」と言われた時代もありました。しかし現在、ハノイ周辺の製造業ワーカーの平均給与は日本円換算で月額6万〜8万円程度まで上昇しています。日本へ渡航するために背負う莫大な借金のリスクを考慮した際、日本で手に入る手取り額の妙味は劇的に縮小しました。
さらに、より好待遇な台湾や韓国、欧米諸国へとベトナムの若者の進路が多角化しており、「日本一強」だった送り出し構造が崩壊したことこそが、激減説の客観的真実と言えます。