ネット上の掲示板やSNSでは、メガネの不快感に対する数多くの裏技が飛び交っていますが、その中には光学的な危険を孕んだ誤解が紛れ込んでいます。
典型的な誤解が、「ずり落ちるなら、鼻パッドの間隔を狭めて鼻をガッチリ挟めばいい」という思い込みです。鼻あてを内側に寄せて挟み込みを強めると、一時的に落下は止まりますが、鼻腔の血流が阻害されて緊張型頭痛や鼻詰まりのような不快感を引き起こします。さらに、フレーム全体が上に押し上げられるため、レンズの光学中心(アイポイント)が瞳孔から外れ、深刻な眼精疲労を招く原因となります。
また、応急処置として市販されている「シールタイプのシリコンクッション」を鼻パッドに重ね貼りする手法も注意が必要です。パッドの厚みが増すことで、前述の「角膜頂点間距離(レンズから黒目までの距離)」が設計値から狂ってしまいます。弱度数なら気にならないものの、乱視や遠近両用メガネの場合、距離が数ミリ狂うだけで視野の歪みや度数の過不足が生じ、吐き気や肩こりの引き金になり得ます。
「他社フレームを無料調整に持っていくのは迷惑行為ではないか」という心理的抵抗も、消費者側の過度な遠慮です。大手量販店にとって、無料フィッティングで来店した顧客が店内の新製品を眺めたり、消耗品を購入したり、次回のレンズ交換や新規購入につながるマーケティング的価値は極めて大きいのが実情です。店員も日常業務の一環として快く対応してくれます。