子どもの肌に現れた赤いポツポツを見たとき、まず確認すべきは「発熱と発疹の時間差」と「発疹が現れた部位・形状」です。小児感染症専門医の診療指針によると、乳幼児の発熱と発疹の違いを素早く見極める最大のカギは、熱のグラフと発疹の出現タイミングにあります。
突発性発疹は、主に生後6カ月から1歳半頃までに初めてかかるケースが多く、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)または7型(HHV-7)が原因です。典型的な経過をたどる場合、何の前触れもなく38〜40度の高熱が3〜4日間続きます。この発熱期間中、喉のわずかな赤み以外には目立った症状がなく、比較的元気そうに遊んでいることも珍しくありません。そして、最大の決定打となるのが突発性発疹の解熱後の発疹です。熱が平熱(36度台)までストンと下がったまさにその日、あるいはいったん解熱した翌朝に、お腹や背中といった体幹部を中心に、淡いピンク色の細かい紅斑が突如として全身に広がります。
対照的に手足口病は、主に夏場に流行するエンテロウイルス属のコクサッキーウイルス(主にA6、A16)やエンテロウイルス71(EV71)などが引き起こす感染症です。こちらは必ずしも高熱を伴うわけではなく、発熱する割合は約3割から半数程度にとどまります。熱が出ても38度前後の微熱が1〜2日続く程度で済むことも多い一方、熱の有無とほぼ同時に、あるいは解熱を待たずに手足口病特有の水疱が手のひら、足の裏、足の甲、膝、お尻、そして口の粘膜や舌に多発します。水疱は米粒大の楕円形で、中心が白っぽく周囲が赤いという明瞭な形態を持っています。
さらに見落とされがちなのが、突発性発疹のかゆみの有無です。突発性発疹の皮疹は基本的にかゆみがほとんどなく、子ども自身が体を掻きむしることは稀です。一方で近年の手足口病は、コクサッキーA6変異株などの影響によって水疱が大型化し、肘や膝、お尻周辺に広範な水疱性丘疹が密集して強いかゆみや痛みを訴える事例が目立ちます。体幹にブツブツが集中しているか、それとも手足の先端や関節部、口内に水疱があるか――この局在性の違いを冷静に観察することが第一歩です。