商品選びの基本となる現行品の意味を正確に整理すると、「製品の製造元(メーカー)が現在もライン稼働を継続しており、正規の卸ルートおよび直営店・正規特約店へ新品として供給しているモデル」を指します。単に「市場の店舗に在庫が並んでいること」を指すのではなく、メーカーの公式製品カタログやWebサイトのメインラインナップに正規掲載されている状態であることが大前提です。
流通現場において、この定義が極めて重い意味を持つのは、経済産業省が指導する「補修用性能部品の保有期間」のカウントに関わるためです。多くの工業製品では、製品の製造を終了(生産終了)した時点から5年〜8年といった部品保管の義務が生じます。つまり、現行品である限りは「修理用部品が枯渇して直せない」というリスクが原則として存在せず、現行品の保証期間を含めたアフターサービスが最も手厚く担保されます。
大手家電量販店の仕入れ担当者は、取材に対して次のように現場の実態を明かしています。「店頭に新品未開封で陳列されていても、メーカー側で後継機が発表された瞬間に、内部処理上は現行品から型落ちへとステータスが切り替わります。消費者が『今作られているもの』と信じて定価で買ってしまうトラブルは、モデルチェンジの端境期に最も集中します」。現行品という言葉は、メーカーの製造ステータスと直結した厳密な流通用語なのです。