問題は食直後の急性症状だけにとどまりません。牡蠣を過剰に食べ続ける習慣や、連日のように大量摂取を繰り返す行為は、体内のミネラルホメオスタシス(恒常性)を根本から破壊します。
特に医学界で警戒されているのが銅欠乏症の危険性です。小腸において亜鉛と銅は「メタロチオネイン」と呼ばれる同じ輸送タンパク質を介して吸収されます。亜鉛が過剰に存在すると、腸管細胞内でメタロチオネインが亜鉛と過剰結合し、銅の体内への移行を徹底的に阻害してしまいます。この状態が数週間から数ヶ月続くと、骨髄障害による高度な貧血、白血球減少症、さらには歩行困難を伴う感覚神経障害や脊髄症など、治療に長期間を要する不可逆的な健康被害に発展する恐れがあります。
また、中高年層や尿酸値が高めの方にとって無視できないのが痛風とプリン体の影響です。牡蠣は100gあたり約184.5mgという極めて高いプリン体を含んでおり、日本痛風・核酸代謝学会の基準では「高プリン体食品」に分類されます。食べ放題などで20個(約400g〜500g)を平らげれば、それだけで800mg前後のプリン体を一気に摂取することになり、1日の推奨制限量(400mg以下)を瞬時にオーバーします。大量のアルコールとともに摂取すれば尿酸の排泄が強力に阻害され、翌朝に足の親指の付け根が激痛で腫れ上がる「痛風発作」の引き金を引くことになります。