仕事が続かない背景には、本人の気質や神経学的な特性が深く関わっているケースが多々あります。近年、医療機関を受診して初めて自らの特性を把握し、長年の生きづらさの正体を知る社会人が急増しました。
筆者が取材した発達障害専門クリニックの精神科医は次のように指摘します。「マルチタスクの混乱、書類の不備、ケアレスミスの頻発によって叱責が重なり、自信を喪失して退職に至るパターンの背景には、仕事が続かないADHD(注意欠如・多動症)特有のワーキングメモリの脆弱性や実行機能のアンバランスが隠れている事例が極めて多い」。新規刺激には異常な集中力(過集中)を発揮する反面、定常的なルーティンワークや厳格なスケジュール管理を強いられる環境では著しくパフォーマンスが低下するのが特徴です。
一方で、病気とは異なる生得的な気質として注目されるのが仕事が続かないHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)です。感覚処理過敏を持つHSPは、以下のような職場で心身をすり減らしやすくなります。
- 怒号やピリピリした空気が漂うオープンフロア(他者の感情をスポンジのように吸収してしまう)
- 常に電話が鳴り響き、複数の指示が同時に飛び交うマルチタスク環境
- 厳格なノルマや競争を煽られる体育会系の評価体系
さらに見過ごせないのが、仕事が続かない病気としての適応障害やうつ病です。次の兆候が現れている場合、それは単なる怠け心ではなく、身体が発している仕事辞めたい限界サインです。
- 日曜日の夕方から激しい頭痛、吐き気、動悸が止まらない
- 以前は楽しめていた趣味や食事が完全に無味乾燥に感じられる
- 朝、駅の改札前で足がすくみ、涙が勝手にこぼれてくる
- 睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に激しい倦怠感とブレインフォグが続く
これらのサインを「まだ頑張れる」と無視し続ければ、回復に数年単位を要する重度うつへと移行しかねません。限界サインを感知した段階での適切な医療機関受診や休職・退職の決断は、逃避ではなく正当な防衛行動です。