近年、InstagramやTikTok、育児ブログなどを中心に、乳幼児のまぶたにアイプチや二重テープを貼ったり、綿棒や指先でまぶたを強くマッサージしたりして人為的に折り目を作ろうとする「赤ちゃんの二重癖付け」動画や投稿が散見されます。「赤ちゃんの皮膚は柔らかいから今なら線が定着する」といった無責任な言説が拡散されていますが、これらは小児科医および眼科専門医から見れば極めて危険な行為です。
医療従事者が断固として癖付けを制止する理由は、乳幼児の皮膚および眼球組織の脆弱性にあります。
- 接触皮膚炎と重度のかぶれ:乳児の表皮の厚さは成人のおよそ半分(約0.1ミリ程度)しかありません。接着成分やテープの粘着剤は、未熟な皮膚バリアを容易に破壊し、接触皮膚炎や激しいかぶれ、細菌感染を引き起こします。
- 眼瞼下垂(がんけんかすい)の誘発:まぶたを継続的に擦ったり引っ張ったりする外力は、挙筋腱膜を物理的に引き伸ばし、まぶたを持ち上げる筋肉そのものを損傷させます。良かれと思って行った行為が、将来的にまぶたが自力で開かなくなる後天性眼瞼下垂を招くリスクを孕んでいます。
- 角膜損傷・視力障害の危険:乳児が手で目をこすった際に、貼付したテープや器具の先端が眼球に接触し、角膜を傷つける重大な医療事故が後を絶ちません。角膜の混濁は視覚発達の決定的な阻害要因となります。
まぶたの折り込みは、前述の通り内部組織の解剖学的な成長と脂肪の自然な減少によって自発的に生じるものです。外的な物理圧によって生じたシワは、傷跡や皮膚のたるみに過ぎず、医学的な意味での健全な重瞼線ではありません。子どもの身体への安全を最優先に考え、人為的な介入は絶対に慎むべきです。