供養の作法を調べる際、最も注意しなければならないのが「宗派による教義の相違」です。ネット上では「お盆には必ず精霊馬を作り、迎え火を焚くべきだ」という情報が画一的に拡散されがちですが、日本で最大の信徒数を誇る浄土真宗では、これらの習俗を一切行いません。
浄土真宗の教えでは、阿弥陀如来の本願を信じる者は往生即成仏(亡くなると同時に極楽浄土へ生まれ変わり、仏となる)と捉えます。魂が霊となって迷い出たり、年に一度特定の時期に現世へ戻ってきたりするという観念が存在しないためです。
そのため、浄土真宗の家庭では以下の点に明確な違いが生まれます。
- 精霊棚の設置、精霊馬・精霊牛の作成は行わない
- 迎え火・送り火で霊を呼んだり送ったりしない
- 故人を個別の霊として追悼するのではなく、すでに仏となった先祖を通じて「阿弥陀如来の慈悲に感謝する仏事」としてお盆法要(歓喜会・かんぎえ)を執り行う
お彼岸についても同様で、「自力で六波羅蜜の修行を行って彼岸へ渡る」のではなく、「他力本願(阿弥陀如来の力)によってすでに救われていることへ感謝を捧げる場(讃仏会)」として勤修されます。ご自身の菩提寺や実家の宗派が浄土真宗である場合、一般的な慣習に無理に合わせる必要はなく、宗派の教えに従って通常の仏壇荘厳で参拝するのが正式なマナーです。