結論から言えば、全受験生にとって無条件に「入りやすい」国立医学部など日本全国のどこにも存在しません。文部科学省の認可を受ける国立大学医学部医学科は全国に50校存在しますが、いわゆる国立医学部偏差値ランキングで下位に位置づけられる地方大学であっても、河合塾の全統記述模試における偏差値はおおむね62.5〜65.0が下限となります。これは東京大学や京都大学の非医学系理工系学部、あるいは早慶の看板理工学部に匹敵、あるいはそれを上回る学力水準です。
大手予備校の進路指導担当者は次のように証言します。「ネット掲示板などで『〇〇大学は穴場』『誰でも入れる』といった無責任な書き込みが散見されますが、現場の感覚からすれば完全な誤解です。最下位クラスの大学であっても、共通テストで8割強を安定して得点し、国公立二次試験の標準問題をミスなく完答できる高度な基礎力がなければ合格ラインには届きません」。
では、なぜ「入りやすい」という言葉がこれほどまでに検索され、議論されるのでしょうか。その鍵を握るのが、共通テストボーダー得点率と二次試験の難易度差です。上位旧帝国大学(東大・京大・阪大など)が共通テストボーダー88〜90%超を要求するのに対し、地方国公立医学部の一部では78〜82%前後に設定されています。この「約8〜10%の差」こそが、受験生にとっての「入りやすさ」の正体であり、合格への現実的な射程圏を生み出す源泉となっています。