健康志向が高まる昨今、「ダイエット中だからしゃぶしゃぶを選ぶ」という声を頻繁に耳にします。しかし、日本食品標準成分表や調理実験のデータをつぶさに分析すると、そこには見落とされがちな落とし穴が存在することが分かります。
次の表は、一般的な1食あたりの標準的な摂取バランスと調理特性を比較したものです。
実験データによれば、しゃぶしゃぶの湯通しによって流れ出る脂質は、全体の約15〜20%程度です。「お湯をくぐらせるから脂質がゼロ近くなる」というのは完全な幻想であり、A5ランクの霜降りサーロインを選べば、湯通し後であっても相当量の動物性脂肪を摂取することになります。
さらに盲点となるのがタレのカロリーです。柑橘の酸味が効いたポン酢(大さじ1杯あたり約10〜15kcal)を中心に食す場合は低カロリーを維持できますが、練りごまや油脂、糖類をたっぷり含んだ濃厚なごまだれを肉にたっぷりと絡めると、大さじ2〜3杯でご飯半杯分に相当する熱量を容易にオーバーします。糖質制限を意識するなら割り下の砂糖を避けて「ポン酢主体のしゃぶしゃぶ」に軍配が上がりますが、単純な総摂取カロリーの観点ではタレ選びこそが決定打となります。