日本のエネルギー自給率はなぜ低い?Oecd最下位級の真相と対策の盲点

日本のエネルギー自給率はなぜ低い?Oecd最下位級の真相と対策の盲点

日本のエネルギー自給率はなぜ低い?Oecd最下位級の真相と対策の盲点とはどのようなものなのか? 専門的な分析を整理してお届けします。

エネルギー問題を巡っては、極端な言説がSNS等で拡散され、ミスリードを招くケースが後を絶たない。冷静な政策決定を阻む代表的な3つの誤解を検証する。

誤解1:「太陽光と風力を増やせば自給率はすぐに100%になる」

再エネ推進派が唱えがちな主張だが、技術的・地理的な壁を無視している。日本は日照時間や風況が季節・天候によって激しく乱高下するモンスーン地帯だ。夜間や無風時に電力を供給するには、莫大な容量の定置型蓄電池が必要となる。しかし、現在の蓄電池製造コストやレアメタル(リチウム、コバルト)の輸入依存を考えれば、再エネ100%化は電気料金を数倍に跳ね上げ、産業競争力を壊滅させかねない。

誤解2:「原発さえ全て動かせば化石燃料ゼロが実現する」

原子力発電はベースロード電源として極めて優秀だが、電力需要の急激な変化に即応して出力を上下させる負荷追従運転には向いていない。鉄鋼・化学プラントなど産業用熱源や自動車燃料の需要まで代替できるわけではなく、原発の稼働だけで一次エネルギー全体の化石燃料依存を全廃することは構造上不可能である。

誤解3:「次世代エネルギー(水素・アンモニア)が全てを救う」

石炭火力にアンモニアを混焼させ、LNG火力に水素を混ぜる技術開発が日本主導で進んでいる。しかし、現在検討されている水素・アンモニアの多くは、海外の安価な再エネや天然ガスから製造して船で運ぶ「輸入前提」のサプライチェーンだ。輸送コストと変換ロスを考慮すれば、調達先が変わるだけで「海外依存」の根本構造を脱却できるわけではない。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。