近年、多くの企業で導入されている確定拠出年金(企業型DC)は、前述した確定給付企業年金とは受給の仕組みが根本から異なります。企業型DCは個人ごとの専用口座に資産が積み立てられているため、「自動的に特定日に振り込まれる」ということは絶対にありません。
企業型確定拠出年金の受給開始時期の最新ルール
企業型確定拠出年金の受給開始時期は、原則として60歳から選択可能です(ただし通算加入者等期間が10年以上ある場合)。2022年4月の法改正によって受給開始時期の上限は75歳まで引き上げられており、2026年現在も受給者は60歳から75歳に達するまでの任意のタイミングで、自ら記録関連運営管理機関(JIS&TやNRKなど)へ受給請求を行って給付を受け始めます。請求手続きを行ってから実際に現金化(保有投信の売却換金)されて口座へ着金するまでには、通常1か月から1か月半程度のタイムラグが発生します。
企業年金の一時金と年金受給の選択詳細まとめ
企業年金を受け取るにあたって誰もが直面する究極の分岐点が、「一時金(一括)」で受け取るか、「年金(分割)」として受け取るかの選択です。両者には税金面・生活面で決定的な長所と短所があります。
一時金受取の強みと注意点:
一時金として受け取る最大のメリットは、「退職所得控除」という極めて手厚い税制優遇が適用される点です。勤続年数20年までは年40万円、20年を超える部分は年70万円の控除枠があり、さらに控除後の金額を半分(2分の1)にした上で分離課税されます。税負担を最小限に抑え、住宅ローンの残債一括返済やリフォームなどまとまった使途に充てたい人には圧倒的に有利です。ただし、定年退職金を既に別枠で受け取っている場合、退職所得控除の枠が相殺される「退職手当等の合算ルール」に注意が必要です。
年金受取(分割)の強みと注意点:
5年、10年、20年、あるいは終身にわたって年金形式で定期的に受け取る手法です。最大のメリットは、定期的な収入として生活費を計画的に管理できるため、退職金の一括受取でありがちな「退職後の気が大きくなった浪費」や「怪しい投資詐欺被害」を構造的に防げる点にあります。しかし、分割受取分は「公的年金等控除」の対象となる「雑所得」として毎年の所得に合算されます。その結果、毎年の所得税・住民税が増加するだけでなく、所得に連動して算定される国民健康保険料(または後期高齢者医療制度の保険料)や介護保険料が跳ね上がり、医療費の自己負担割合が1割から2割・3割へと引き上げられるリスクを伴います。