ネット上のQ&Aサイトや動画プラットフォームには、洗濯機の水回りトラブルに関して誤った情報や危険な自己流メンテが数多く流布しています。良かれと思って試した結果、事態を劇的に悪化させて高額な修理代を招くケースが後を絶ちません。
最も蔓延している誤解が、「水がたまらないならバケツで直接水を汲み入れれば動く」という短絡的な運用です。給水弁が壊れている場合に一時しのぎとして手動で給水する人がいますが、現代のマイコン制御式洗濯機、とりわけドラム式洗濯機では極めて危険です。ドラム式は衣類の重量と給水量、さらには泡立ちの度合いを複数のセンサーで緻密にセンシングしています。バケツで上から急激に注水すると、センサーが泡立ち異常や過充水を検知して強制排水モードに突入したり、最悪の場合は扉のロック機構や内部パッキンに異常水圧がかかって室内浸水事故を引き起こしたりします。
また、「排水弁が詰まっているなら、市販の強力パイプクリーナーや高濃度の塩素系薬剤を流し込めば溶けるはずだ」という言説も大きな罠です。洗濯機の排水弁ユニットには軟質ゴムのダイヤフラムや可動スプリングが使われており、高濃度のアルカリ性薬剤や強酸性洗浄液が触れると、ゴムが急速に硬化・変形して二度と密閉できなくなります。同様に、詰まった異物を押し出そうと針金ハンガーを排水口に力任せに突っ込み、内部の蛇腹ホースを破いて床下浸水を起こす二次災害も頻発しています。見えない箇所の閉塞に対して無理な物理・化学的介入を行うことは厳禁です。