第二次世界大戦直後の混乱期、東欧から東アジアに至るユーラシア大陸のチェスボードを動かしていたのはソ連共産党だった。とりわけ指導者ヨシフ・スターリンの冷酷な戦略構想は、若き抗日パルチザン指導者であった金日成の運命を決定づけた。モスクワでの密室会談において、二人の間には互いの野心が交錯する緊迫したやり取りが交わされていた。
朝鮮戦争の開戦に至るまでの綿密な計画策定は、決して単独の決断ではなかった。モスクワが発信した指令文書を追うと、武器供与の条件や前線での戦略配置に至るまで、ソ連側の意図が克明に読み取れる。権力を盤石にするため、大国の思惑を巧みに利用しながら自らの立場を固めていった冷徹な権力闘争の軌跡が浮かび上がる。