かがくいひろし急逝の真相と奇跡の絵本|50歳デビューの足跡

かがくいひろし急逝の真相と奇跡の絵本|50歳デビューの足跡

かがくいひろし急逝の真相と奇跡の絵本|50歳デビューの足跡の見逃せないポイントをわかりやすく整理しました。

かがくいひろし氏は1955年、東京都に生まれました。東京学芸大学教育学部美術科を卒業後、千葉県立の養護学校(現・特別支援学校)の教員として勤務を開始します。肢体不自由や知的障害を抱える子どもたちと正面から向き合い、教具や人形劇を手作りしながら、どうすれば生徒たちが自発的に笑顔になり、体を動かしたくなるのかを模索し続けました。

転機が訪れたのは2005年。50歳を迎えた年に応募した『おもちのきもち』が、満場一致で第27回講談社絵本新人賞を受賞します。審査員を唸らせた圧倒的なユーモアと、おもちが鏡餅の台座から逃げ出すという斬新な視覚的ダイナミズムは、遅咲きの大型新人の誕生を告げるものでした。

教職を辞して創作活動に専念し、2008年にはブロンズ新社から『だるまさんが』を出版。瞬く間に全国の幼稚園、保育園、子育て世帯へ口コミで広がり、異例のスピードで大ベストセラーへと上り詰めます。しかし、作家としての才能がまさに開花し、日本中から次回作を熱望されていた2009年9月28日、すい臓がん(急性膵炎の併発報道含む)のため都内の病院で急逝しました。満53歳(享年54)というあまりに早すぎる別れでした。

当時、病魔は音もなく進行していました。体調不良を覚えながらも締め切りと真摯に向き合い、アトリエでペンを握り続けていたといいます。夫の創作活動を誰よりも近くで見守り、献身的に支え続けた妻・久美子さんは、当時の様子について「主人は体が限界を迎える最後の瞬間まで、子どもたちを楽しませるためのアイデアノートを手放さなかった」と回顧しています。実質的な活動期間はわずか4年半。その短い年月に遺された16作の作品群は、命を削って生み出された奇跡の遺産です。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。