ジェイコム事件の痛烈な教訓を経て、日本の金融インフラは抜本的な再構築を余儀なくされた。事故当時、取消注文を受け付けなかった東京証券取引所のシステム不備も厳しく追及され、行政指導を行った金融庁を巻き込んだ大改革がスタートしたのである。
2026年の取引環境においては、かつてのような初歩的ミスの放置はシステムレベルで遮断される。誤注文防止機能(価格制限幅やキャップ制、急激な価格変動を一時停止させるボラティリティ・モデレーション機能)が重層的に組み込まれ、発行済み株式数を越えるような異常注文は即座にリジェクトされる仕組みが標準化された。しかし、アルゴリズム取引が主流となった現代では、別の形での誤作動(フラッシュ・クラッシュ)が新たな脅威として浮上している。