芥川龍之介のイケメン写真として名高いカットでは、通った鼻筋とシャープな輪郭、深い思索を感じさせる涼やかな瞳が際立っています。学生時代から抜群の知性と長身痩躯のスタイルで知られ、木村荘八による肖像画や同時代の証言でも、彼の洗練された身のこなしと神経質なまでの清潔感が高く評価されていました。書斎で頬杖をつき、物憂げに視線を落とす構図は、現代のグラビア写真と比較しても一切見劣りしない完成度を誇ります。
一方、夭折の天才詩人中原中也の写真が放つ美少年としての輝きは、今なお多くの読者を虜にしています。大きな黒い帽子をかぶり、澄んだ大きな瞳でカメラを見つめるポートレートはあまりにも有名です。しかし、実際の彼にまつわる近代文学の作家エピソードは実に強烈でした。酒癖が極めて悪く、泥酔しては太宰治や坂口安吾に絡み「青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって」と悪態をつくなど、可憐なビジュアルとは裏腹の獰猛な一面を抱えていました。その激しい二面性こそが、詩人・中也の剥き出しの魅力と言えます。