「ドリルすんのかいせんのかい」を語る上で欠かせないのが、すち子が手にしている棒状の小道具、通称「巻きザッパ」です。
劇場全体に「パチン! バチン!」と驚くほど鋭い破裂音が響き渡るため、「本当に痛いのではないか」「怪我をしないのか」と心配する声も少なくありません。しかし、ここには新喜劇が長年培ってきた舞台道具の職人技が隠されています。
巻きザッパの正体は、竹を細かく縦に割ったものを束ね、周囲をビニールテープなどで何重にも巻いて作られた特製の竹鞭です。竹の隙間に空気が含まれているため、体に軽く当てただけでも竹同士が打ち合わさり、まるで鞭で強く叩いたかのような凄まじい衝撃音が発生します。
もちろん、まったく痛くないわけではありません。吉田裕本人の証言によれば、「音の割には痛くないが、連続で叩かれると地味に痛い」とのこと。舞台の緊張感とアドレナリン、そして叩く位置を正確にコントロールするすっちーの技術によって、安全性を保ちながら最大限のインパクトを生み出す工夫が施されています。