aikoの代表曲として名高い『カブトムシ』が初期の圧倒的な衝動と溢れ出る抒情性を象徴していたとすれば、『シアワセ』はより成熟した感情の機微を描き出した一曲といえる。アルバム『秘密』の流れの中で聴くと、彼女の表現力がより深い領域へと達したことがわかる。
『カブトムシ』で見せた甘く切ない世界観を踏襲しつつも、『シアワセ』では日常の細部に対する観察眼が一段と研ぎ澄まされている。部屋の匂い、視線の交差、静けさの中の息遣い。些細な日常の断片を普遍的なアートへと昇華させる手腕は、J-POPの歴史においても際立っている。