油屋に現れた凄まじい悪臭を放つ「腐れ神」。湯婆婆すら匙を投げかけたその客の正体は、へどろと廃タイヤ、コンクリート片に塗れた名ある「河の神」だった。千尋が持ち前の度胸と誠実さで刺さっていたサイクルを取り抜くと、一気に濁流が噴き出し、本来の神々しい姿を取り戻す。その去り際に「よきかな」という歓喜の声援とともに千尋の手に残されたのが、小さな団子だった。
河の神がなぜこれを千尋に託したのか。それは単なる清掃作業へのチップではない。汚濁に塗れた世界に一人で立ち向かい、本来の姿を呼び覚ましてくれた少女に対する「霊的な信頼」と「守護の符」だったのだ。己の身を削って生成された秘薬を託す行為は、神話における「試練を乗り越えた者への神授」に他ならない。