チョリソーの起源はイベリア半島にある。スペインの伝統的なチョリソー(Chorizo)は、豚ひき肉に塩、ニンニク、そして何よりも大量の燻製パプリカパウダー(パプリコン)を混ぜ込んで作られる。このパプリカこそが、あの鮮やかな赤色の正体だ。重要なのは、本場スペインのチョリソーは必ずしも「辛くない」という点である。パプリカの甘みと深い燻製香、そして塩気が凝縮された、旨味の塊なのだ。また、多くは数週間から数ヶ月かけて自然乾燥・熟成させるため、サラミのようにそのままスライスして食べるのが一般的だ。
一方で、大航海時代を経て大西洋を渡ったメキシコのチョリソーは全く異なる進化を遂げた。スペイン産がパプリカを使うのに対し、メキシコでは現地で豊富な唐辛子(チリペッパー)や酢、フレッシュなハーブを使用する。さらに、熟成させない生ソーセージ(Fresh Sausage)として作られることが多く、調理時にケーシング(腸)から肉を取り出し、ひき肉のように炒めてタコスやエッグ料理の具材にするのが定番だ。こちらはしっかりと刺激的な辛みと爽やかな酸味が際立つ。