法廷で最大の争点となったのが、被告の精神鑑定結果と刑事責任能力の有無であった。裁判では複数の専門家による精神鑑定が実施され、男が「妄想性障害」を患っていたか否か、そして犯行時に善悪を判断し行動を制御する能力が残されていたかが徹底的に検証された。犯行の計画性や隠蔽工作の有無が、責任能力を判定する重要な指標として浮上した。
鑑定医たちの意見は鋭く対立した。精神の障害が犯行を直接引き起こしたとする見解がある一方で、検察側は強い殺意と冷徹な計画性を強調。精神障害の影響を認めつつも完全な責任能力を有していたとする判断が導き出された。司法が突きつけたこの結論は、現代の精神医学と法制度が交差する境界線の難しさを浮き彫りにした。