桜庭一樹の直木賞受賞作を映画化した『私の男』で、彼女はさらなる飛躍を遂げる。孤児となった少女と、彼女を育てた男との危険な愛を描いた本作。二階堂ふみは、極寒の流氷の海や降り積もる雪の中で、あまりにも美しく衰えぬ生と官能を身にまとって見せた。
浅野忠信演じる腐野淳悟との濃密な関係性を演じるなかで、彼女が見せた覚悟は本物だった。日本映画業界においても、10代から20代へと脱皮する過程でこれほどまでに妖艶さと危うさを同居させられた女優は極めて稀だ。日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめ数々の賞を総なめにしたのも当然の結末と言える。