多くのリスナーが「眩しい夏の恋を描いたラブソング」と受け止めていた本作ですが、その制作経緯にはあまりにも悲痛なプライベートの出来事が深く関わっていました。楽曲制作の直前、織田哲郎にとって精神的な支柱であり、音楽的にも深い理解者であった実兄が不慮の事故により急逝していたのです。
後年のインタビューや自著、公式発言において織田哲郎自身が語った証言によると、当時の彼は計り知れない喪失感と絶望の底に突き落とされていました。しかし、CMタイアップという商業的な要請として求められていたのは「明るく爽快で前向きなポップソング」でした。極限の精神状態の中で彼が導き出した答えは、タイアップとしての外向きの明るさを保ちながらも、「逝ってしまった兄へ捧げる魂の祈り」をメロディと歌詞の深層に宿すことでした。
一見するとキャッチーなサビのメロディに、どこか哀愁を帯びた陰影が宿っているのは、プロの音楽家としての責務と、人間としての剥き出しの悲痛が奇跡的なバランスで融合した結果に他なりません。