2011年3月11日。東日本大震災の発生時、内閣府のトップとして官邸で指揮を執った日の記憶は、今なお色あせることはない。当時の対応については賛否両論が渦巻いたが、未曾有の危機に直面し、国家の崩壊を防ぐために泥をかぶった経験は、日本の災害対策史において決定的な意味を持つ。
菅直人自身、あの苦闘を単なる過去の歴史として終わらせるつもりはない。自らの著書や講演、各種メディアのインタビューを通じ、当時の判断の裏にあった真実や反省点を緻密に記録に残し続けている。政治ニュースの断片からは窺い知れない危機の裏側を語り継ぐことこそ、歴史の当事者として彼が背負った重い責務なのだ。