こうした時代の要請を受け、製薬産業そのものも大きな変化の渦中にある。脳への副作用が少ない次世代の抗ヒスタミン薬の開発や、抗コリン作用を極力低減させた新しい治療薬の投入が相次いでいる。市販薬の分野においても、リスクの低い代替成分を用いた製品への切り替えが進むなど、製薬企業の社会的責任がより厳しく問われる時代となった。
さらに、医療機関や薬局での処方監査システムには最新のデータ解析技術が導入されつつある。患者の処方歴や既往歴を一元管理し、抗コリン負荷の高い組み合わせが検知された際には自動的にアラートを発動する仕組みが実用化されつつある。薬の恩恵を最大限に享受しつつ、認知機能への弊害を未然に防ぐ技術的基盤が急速に整い始めている。