保育園における火災避難訓練の指導案を作成する際、最も重視すべきは「子どもの発達段階に応じた明確なねらいの設定」です。0歳児と5歳児では、理解力も身体能力も全く異なります。
幼児クラス(3〜5歳児)に対しては、防災の基本合言葉である「お・は・し・も」(おさない・はしらない・しゃべらない・もどらない)の徹底が中心となります。近年では「ち(ちかづかない)」を加えた「おはしもち」を指導する園も増えています。単に言葉を暗記させるだけでなく、「なぜ走ると危ないのか(転んで煙を吸ってしまうから)」という理由を、身振り手振りを交えて理解させることがポイントです。
一方、避難訓練における乳児のパニック対策としては、言葉での理解よりも「安全かつ迅速な搬送体制」の構築が最優先されます。指導案には以下のねらいと役割分担を明確に落とし込みます。
- 0歳児(乳児):保育者の抱っこやおんぶ紐、避難車(お散歩カー)を使い、頭部を守りながら落ち着いて避難する。
- 1〜2歳児:保育者の誘導に従い、誘導ロープを握ったり手を繋いだりして、周囲に気を取られず小走りで移動する。
- 3〜5歳児:非常ベルを聞いて自ら口と鼻をハンカチや衣服で覆い、姿勢を低くして避難経路を進む。
火災避難訓練のねらいは、「指示を静かに聞くこと」だけではありません。「煙の怖さを知り、自らの身を守る姿勢を身につけること」を主眼に置き、日々の保育活動の中に自然な形で防災意識を溶け込ませていく工夫が求められます。