現在、在日韓国人社会の中核を担っているのは、日本生まれ・日本育ちの在日韓国人 三世・四世です。彼ら・彼女らの実態を取材すると、言語や生活様式においては一般的な日本人と完全に同化している様子が如実に見て取れます。家庭内での会話は日本語であり、韓国語を流暢に操る層は民族学校出身者や自発的な留学経験者に限られます。
公の場や教育・ビジネスの現場で長年議論となってきたのが、在日韓国人の通名と本名の使い分けです。通名(通称名)とは、戸籍上の本名とは別に住民票への記載が認められている法的な別称です。昭和期には就職差別や入居差別を回避するための自衛手段として広く定着しました。
文芸作品や当時の手記・回想録には、「学校の出席簿で本名を呼ばれた瞬間に走る緊張感」や「周囲の視線を恐れて通名を名乗り続けた葛藤」が数多く記されています。しかし2026年現在の若い世代においては、K-POPカルチャーの浸透やグローバル志向の高まりを背景に、「あえて職場やSNSで本名(民族名)を堂々と名乗る」層と、「日常生活の利便性を最優先して通名を常用する」層の双方が存在し、個人の選択肢として相対化されつつあります。なお、行政手続きや金融機関での本人確認が厳格化された現在、通名の新規登録には公的な使用実績の証明が厳しく求められます。
また、男性当事者にとって重大な関心事であり続けているのが在日韓国人の兵役義務です。韓国では成人男子に対する国民皆兵制が敷かれていますが、兵役法では「在外国民2世」制度が規定されています。国外で出生、あるいは幼少期から継続して永住権を保持して居住している場合、韓国国内での通算滞在期間が1年のうち6ヶ月未満であり、営利活動を行わない限り、37歳まで兵役の義務が事実上延期(猶予・免除)されます。しかし、韓国国内の大学へ長期間留学したり、韓国内で就労して収入を得たりした場合には兵役義務が復活するため、将来のキャリア設計において綿密な法的配慮が求められる現場の緊張感は依然として残されています。