インターメディアテクを訪れる際、最も知っておくべき重要なルールが「館内全面撮影禁止」(※一部の指定エリアや特別企画を除く)です。SNS全盛の現代において、いわゆる「インスタ映え」するフォトジェニックな空間でありながら、なぜ写真撮影を頑なに禁じているのでしょうか。その真相には、3つの明確な理由があります。
第一の理由は、総合プロデューサーを務めた西野嘉章・東京大学名誉教授らが掲げる「空間体験の哲学」です。来館者がスマートフォンのレンズ越しに世界を切り取るのではなく、自分自身の肉眼と身体感覚を用いて、静寂の中で展示物と対話してほしいという強いメッセージが込められています。写真を撮ることが主目的化し、展示そのものを深く鑑賞しない「体験のデジタル消費」に警鐘を鳴らしているのです。
第二の理由は、展示物の安全管理と著作権・寄託契約上の配慮です。展示品の中には、歴史的価値が極めて高い一点物や、外部機関・研究者から特別に寄託された学術資料、現代作家のアート作品が多数含まれています。フラッシュ光による資料劣化の防止や、権利関係の厳格な遵守が求められます。
第三の理由は、狭小な通路や階段が交差するアンティークな空間において、撮影待ちによる滞留や事故を防ぎ、すべての来館者に静謐な鑑賞環境を保障するためです。ネット上の口コミでも「最初は撮影したかったが、スマホを持たずに歩くことでこれほど展示に没入できるとは思わなかった」「カメラのシャッター音がない美術館がいかに貴重かを実感した」といった好意的な評価が圧倒的多数を占めています。