ミュージカル『ヘタリア』の歴史は、長江崚行さん演じるイタリアの第一声から始まったと言っても過言ではありません。2015年12月に幕を開けた初演『Sing in the World』当時、長江さんは現役高校生の17歳でした。『天才てれびくんMAX』のてれび戦士として幼少期から培った確かな表現力を持っていたものの、大人気コミックの舞台化において最年少で座長を背負う重圧は計り知れないものがありました。
しかし、舞台上に現れた長江崚行さんのイタリア役は、原作からそのまま抜け出してきたかのような無邪気さと、劇場を包み込む圧倒的な歌唱力で観客の懸念を一瞬で払拭しました。ヘタミュの楽曲はポップスからクラシック調、テンポの速いコミカルソングまで多岐にわたりますが、彼のハイトーンボイスは音響の壁を軽やかに突き抜け、観客の感情をダイレクトに揺さぶります。
当時のインタビューや雑誌対談において、本人は「最初は先輩たちについていくので必死だった」と振り返っていますが、舞台上で見せた度胸と瞬発力はすでに一級品でした。ヘタミュにおける歌唱力の評判が高まるにつれ、「長江崚行の歌声こそがヘタミュの多幸感の源泉である」という評価が業界内外で定着していきました。