圧倒的な防災性能を誇る免震構造ですが、すべての土地や建物に万能というわけではありません。検討時に直面する現実的なデメリットや制約が存在します。
第1の盲点は、「敷地境界とのクリアランス(離れ寸法)」です。免震住宅は地震時に建物全体が水平方向に数十センチメートル動く設計になっています。そのため、隣地境界や塀から建物を40cm〜50cm以上離して配置する必要があり、都市部の狭小地や変形地では導入自体が困難になる場合があります。
第2の注意点は、「地盤条件の厳しさ」です。免震装置は強固な地盤や適切な基礎工事の上に設置されなければ本来の性能を発揮できません。軟弱地盤や液状化リスクの高いエリアでは、地盤改良費用が通常よりも高額になります。
第3に、長期的な維持管理コストです。免震装置の主力を担う高減衰積層ゴムは、メーカーの設計耐用年数が60年〜80年と長期化していますが、定期的な目視点検(5年〜10年ごとの詳細点検)が推奨されています。万が一、将来的な大規模リフォームや装置交換が必要になった場合、ジャッキアップ工法による高額な施工費用が発生するリスクを資金計画に織り込んでおく必要があります。
また、「縦揺れ(直下型地震の突き上げ)に弱いのではないか」という懸念の声も聞かれます。免震装置は主に水平方向の揺れを逃す構造のため、垂直方向の加振力を完全に遮断することはできません。ただし、建物を破壊する主原因は横方向の強いせん断力であるため、水平方向の揺れを大幅に低減するだけでも倒壊リスクは劇的に低下します。