五勝手屋羊羹の代名詞とも言えるのが、円筒形のパッケージに入った「丸缶羊羹(まるかんようかん)」です。昭和初期、当時の職人が「外出先や旅先でも手を汚さず、刃物を使わずに手軽に羊羹を味わってほしい」という想いから開発した、画期的な携帯容器です。
しかし、初めて手に取る方のなかには「糸の使い方が分からない」「押し出しすぎて崩れてしまった」と戸惑うケースも少なくありません。ここでは、失敗せずに美しくスライスするための手順を解説します。
【丸缶羊羹を綺麗に切る4ステップ】
ステップ1:フタと糸の準備
上部のプラスチックキャップを外すと、容器のフチに専用のタコ糸がセットされています。糸を容器からほどき、手前に垂らしておきます。
ステップ2:底からゆっくり押し出す
筒の底面にある可動式の底板を、親指で下から押し上げます。自分が食べたい厚さ(約1cm〜1.5cmがベストバランス)だけ羊羹を筒から露出させます。
ステップ3:糸を羊羹の根元に回す
筒のフチ、羊羹が出てきている境目に糸をぐるりと回し込みます。このとき、糸が斜めにならないよう水平をキープするのが美しく切る秘訣です。
ステップ4:水平に糸を引いてスライス
糸の両端、または片側を水平方向にスーッと引き抜きます。刃物を使わずに、驚くほど滑らかな断面で一口サイズの羊羹が切り取れます。
現場での検証から得られた注意点として、「押し出しすぎた羊羹は元に戻せない」という構造上の特徴があります。無理に押し戻そうとすると羊羹が崩れたり密閉性が失われたりするため、必ず食べる分だけを少しずつ押し出すのが美味しく楽しむ鉄則です。