『ゲゲゲの鬼太郎』などの名作で知られる漫画家・水木しげる氏(本名:武良茂)も、ニューブリテン島へ送られた一人の兵士でした。水木氏が配属された部隊は島の北東部ズンゲンで敵の猛攻を受け、所属部隊がほぼ全滅する「玉砕」の危機に直面。水木氏はジャングルを数日間さまよい、九死に一生を得て本隊へ生還しました。
その後の敵機による空爆で重傷を負い、麻酔もない過酷な状況下で左腕を切断するという壮絶な体験を味わいます。生死の境をさまよう絶望のなか、水木氏の命と心を救ったのが、現地先住民族であるトライ族の人々との温かな交流でした。
言葉の壁を越えてバナナなどの食料を分け合い、家族のように温かく受け入れてくれた現地の人々との日々は、水木氏の死生観と妖怪画の原風景となりました。「ラバウルは第二の故郷」と公言した水木氏は戦後も度々ニューブリテン島を再訪し、現地に暮らす人々への支援を継続。名作『総員玉砕せよ!』など数々の自伝的戦争文学を通じて、この島で起きた生々しい真実を現代に伝え続けました。