ネット上では「なぜシータやパズーは無事で、ムスカだけが失明したのか?」という疑問が長年議論されてきました。劇中の演出や制作陣の設定資料、作中描写を精査すると、ムスカが深刻なダメージを負った理由は単なる偶然ではなく、複数の明確な要因が重なった結果であることが分かります。
第一の理由は、「光源との物理的距離と直視の度合い」です。パズーとシータは呪文を唱えた直後、強烈な衝撃波と光を避けるように反射的に目を閉じ、お互いをかばい合う体勢を取りました。対してムスカは、銃を構えてふたりを凝視していたため、至近距離で発生した最大光量のパルス光を瞳孔が開いた状態でダイレクトに直撃されたのです。
第二に挙げられるのが、「ムスカの普段の視覚環境とサングラスの存在」です。ムスカは劇中で常に色のついた度付きレンズ(サングラス)を着用していました。これは暗がりでの視認性を補う特殊なレンズであったと考察されることが多く、光量が遮断された環境に慣れていた網膜に対して、想定を遥かに超える高密度の紫外線・可視光線エネルギーが注ぎ込まれたことで、角膜および網膜に不可逆的な熱傷(日光網膜症と同様の重篤な組織破壊)が生じたと推察されます。
さらに設定上の観点として、飛行石の光は単なる物理光ではなく、ラピュタの王族が持つ正当な力と契約に反応する「神秘的エネルギー」を帯びていました。邪悪な支配欲と野心に憑りつかれ、神聖な力を私利私欲のために利用しようとしたムスカに対する「力の拒絶と反動」が、視覚器官の完全な破壊という形で現れたとも解釈できます。