「姿は見えないが、何となく気配がする」という場合、部屋に残されたサインを精査することで潜伏の有無を確定できます。害虫防除のプロが現場調査で最初に行うのが、痕跡(インスペクションサイン)の探索です。
生息を裏付ける決定的な痕跡は主に3つ存在します。
1. ゴキブリのフンの特徴と見分け方
ゴキブリのフンは、黒または濃い茶色をした1mm〜2.5mm程度の小さな粒状です。一見すると黒ゴマやホコリの塊、あるいはブラックペッパーのように見えますが、ルーペなどで拡大すると表面がわずかに筋状になっていたり、水分を含んで乾いたようなシミ状(フォーカルスポット)になっているのが特徴です。
キッチンの引き出しの隅、シンク下、食器棚の角などに黒い微粒子がパラパラと落ちている場合、そこは彼らの通り道、あるいは定宿(巣)になっている決定的な証拠です。
2. ゴキブリ特有の油臭い匂いの原因
部屋に入った瞬間、あるいは特定の棚を開けた際に「古い油が酸化したようなツンとする臭い」「カビと脂が混ざったような饐えた臭い」を感じたことはないでしょうか。これはゴキブリ特有の油臭い匂いの原因である集合フェロモンおよびワックス状の分泌物によるものです。彼らは仲間を引き寄せるために体表からフェロモンを分泌しており、生息数が増えるほど独特の異臭が室内に充満します。
3. ゴキブリの卵や抜け殻の痕跡
幼虫が成長する過程で脱ぎ捨てた「薄茶色の半透明な抜け殻」や、小豆(あずき)のような形状をした「卵鞘(らんしょう)」が落ちていた場合、事態は極めて深刻です。卵鞘は硬い殻で覆われており、1つのカプセルの中にクロゴキブリなら約20〜30匹、チャバネゴキブリなら約30〜40匹の幼虫が密閉されています。これが放置されていると、室内部屋での自然孵化がすでに行われているサインとなります。